資料提供:研究と報告
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これまで言語化を試みてきた、研究と報告に関する論文などで、作業をもちいる療法の基本的な概念や方法論に関するものを提供します。ご意見やご質問は遠慮なくお聞かせください。言語化を試みはじめた稚拙な時期のものも、発表当時のままPDFにしたものです。
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  治す・治るから生きるへ
@ 愛しあい,結ぼれ,命を宿し,産み,育てる−障害がある人たちの生活支援をICFの視点から− 作業療法ジャーナル44,558-562,2010
 人が出逢い、惹かれ、愛しあい、結ぼれ、命を宿し、産み、育てる。仮にその人たちに障害がある場合、その支援はどのような意味をもつのか、そうした支援の重要性や現状を含め、ICFの点から「なにをいまさら」という思いと「そしてまだ?」という2つの思いを述べた

A高齢社会最前線に異常あり!作業療法(士)出動せよ! 作業療法ジャーナル44,364-368,2010
 平均寿命の延伸と少子化の進行による若年人口の減少にともなう高齢化率の上昇、日本の高齢社会の現状と問題を作業療法事情を分析し、作業療法の知識や技術が宝の持ち腐れにならないよう、作業療法(士)は高齢社会最前線へ出ることを勧める。

B「地域の人々への啓発−気づきと学びの泉『拾円塾』」 こころの科学・増刊
 「拾円塾」には、家族や当事者、ボランティア、グループホームや作業所のスタッフ、その他さまざまな人が、口伝えで集まってくる。それぞれの疑問や悩みを分かち、学ぼうという思いから生まれた気づきと学びの場「拾円塾」が誕生するまでの背景、誕生してから10年の経過を巡って、病気や障害の有無を超えて、共に安心して暮らせる場をどうすれば作ることができるか、生活目線で見直してみる。 

C治療・療養環境と生活障害−「住まい」という視点から 臨床作業療法8(6) 550−554,2011
 治療・療養環境と生活障害について,そのとらえ方と基本的な視点を整理した.

Dハレとケ-行事がつむぐ生活 OTジャーナル49, 1255 -1259
 四季折々の行事が,人々の社会生活や日々の暮らしにどのように影響しているのか,行事は作業療法でどのように用いられているのか
 作業・身体・作業療法の治療機序                                                                
@心身統合の喪失と回復−コミュニケーションプロセスとしてみる作業療法の治療機序 作業療法27(1),73-82,2008
 作業による身体図式の修正、脳地図の書き換え、ニューロンネットワークの強化・形成といった、神経心理学レベルの機能回復から生活の再建、社会参加に至る作業療法の治療機序を、対象者自身の身体や生活とのコミュニケーションプロセスという視点からとらえ、新たな臨床作業療法モデルを提唱した。

Aコミュニケーションとしての作業・身体 作業療法 25(5),393-400,2006
 通常の生活においては、身体図式・身体像が、対象との相互性の中でダイナミックに変動しながら安定性を保っているため、人は身体を意識することなく環境や状況に適応し生活している。病や障害により、身体図式・身体像に歪みが生じ、自己と身体、生活との関わりを失う.この失われた関わりを取り戻すプロセスは、自己の身体の確かめから始まり、身体がリアルな存在になることで、新たな生活の再構築へと向かう。 

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Bひととことばと作業と 臨床精神病理 35(1),59-66,2014
 ことばは,あいまいな現象や心の深層を明確にする.しかし,ことばはときとして侵襲性を伴う.作業は客観性ではことばに及ばないが,非言語的なコミュニケーション機能はことばにならない真実をつたえる.
 集団・場
@「パラレルな場」という治療構造−ひとの集まりの場の治療的利用 コミュニケーション障害学26,87-191,2009
 集団療法の多くは、成員間におきる集団力動と凝集性により共通の目標や個々の課題の解決を図るもので、対人緊張の高い者や思春期心性をもつ者には、適用に限界がある。その対処として、場を共有しながら、集団としての課題や制約を受けない治寮構造として「パラレルな場」という概念が生まれた。

A統合失調症の回復過程に沿った集団の活用 作業療法ジャーナル42,825-830,2008
 他者との関わりにおいて傷つき、他者との関わりによって癒される。人格的な病い、対人関係の障害といわれる統合失調症を患う人たちに対して、パラドキシカルな意味をもつ他者との関わり、集団をどのように活かすか、回復過程と他者との関わりという視点から集団の活用について考えてみることにしよう

Bパラレルな場(トポス)の利用 作業療法18巻2号,1999
 パラレルな場(トポス)は、人の集まりの「場」を利用しながら、原則として個人に対しておこなう作業療法特有の治療構造である。パラレルな場の構造と特性、効用、適応対象、問題と対処、などの臨床的現象を分析し、利用の仕方についてまとめた。

C話して、離し、放す 心と社会 No.150 巻頭言
 共生(ともいき)の相互の悩みを話す場「拾円」ができて12年(2012年現在)。共に生きるために人が話すことの意味についてまとめた短文。
  作業をもちいる療法の基本となるナラティブ・プライマリ−な見方や関わりにあたるもの                           
@幻想と現実の分離・再統合における作業療法の機能−分裂病性強迫障害 ・認知障害の事例より− 作業療法23(2),125-132,2004
 否定も肯定もしないほうがよいといわれる妄想的言動に対し、作業療法では、具体的な作業活動を介して、錯覚・妄想と現実を分離し、現実生活として再統合を図る。症例を通して、作業療法の場の機能と作業療法士のかかわりについて考察した。

Aからだの声
に耳を傾けて聴くこころの声−身体化症状によりADL全介助となった少女の回復過程より
 作業療法19(6),546-553,2000
 身体化症状をもつ転換ヒステリーに対する治療は、主訴を受けいれ身体症状へ対処することからはじまり、関係を形成し、洞察、生活の見直しといったプロセスがとられる。自我の未成熟な思春期から青年期に対しては、モノや作業活動を介した直接病理にふれない「ほどよいかかわり」が有効な手段の一つとなる。

B「ふれない」ことの治療的意味−汚言に葛藤する患者の対処行動と自己治癒過程より 作業療法 16(5),360-367,1997
 自我の脆弱な患者や思春期心性に対する微妙な配慮が必要な患者にとって、関わりすぎることが非治療的になることが多い。直接病理にふれず、その言動を自己治癒努力の対処行動と受け止め、健康な活動欲を満たし、現実生活に戻るモラトリアムな時間と場を保障することが、脆弱な自我を保護し、自己能力の現実検討、自信の回復など自己治癒過程を促進する。

C 作業療法における物の利用−術後歩行困となった接枝分裂病患者 作業療法11(3),274-281,199
 作業療法の過程において、言語によるコミュニケーションが困難な場合や治療関係が十分成立していない時期においては、物が大きな役割を果たす。物を介した関わりは、関わる者の行為を具象化し予測しやすくしたり、現実をその人にとって受け入れやすい状況にしたりする。 
その他(作業のももちい方など)   
@創作活動によるセルフコントロールプログラム−精神科デイケアにおける試みと事例をて− 作業療法23(6),539-548,2004
 注意機能や統合機能など認知の障害がある場合、自分の心身の状態を認識するには、クライエント自身が自らの体験を通して、意識的にセルフモニタリングをすることが必要である。デイケアのプログラムにそうした主体的取り組みを促す試みの一つとして、創作活動の特性を生かしたセルフコントロールプログラムを導入した。 

A自己表現活動としての自由短詩の臨床的有用性−冠難辛句:サラリと こころの煙突掃除− 作業療法30(4),402-410,2011
 抑制・抑圧された思いの解除は重要であるが,その表出は難しくリスクもある.詩歌の無意識内容の一次過程表現としての利点を生かしながら,詩作の素養が無くても情動表出を可能にする自由短詩技法「冠難辛句」

B「第16回WFOT大会2014」Team Japan出航−ラーメン1杯とコーヒー1杯で国際交流・国際貢献− 作業療法30(2),132-136,2011
 2014年のWFOT大会の日本開催に至る経緯.

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Cリアリティ・オリエンテーションの現状と課題 認知症の最新医療2(4),175-178,2012 
 ROの基本的な方法,効用と限界,有効に利用するための留意事項などについて紹介
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