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作業・生活行為
作業(activity)の意義
 作業療法は、ひとが日々おこなっている生活行為、作業を手段とするが、「作業(activity)」の意義は、「作業するプロセスを経て得られる対象者の生活行為における満足感や心地よさといった感覚的変化」にある。すなわち、作業で何かができるようになったといった結果はもちろんであるが、ひとが自分にとって必要な作業をすることに対する満足感とか、心地よく取り組めたかといった、作業をする過程でおきた気持ちの変化こそが「作業(activity)」の意義といえる。そのため、作業療法では「作業療法士のはたらきかけと作業する人自身の感覚的変化を含む、そのプロセスすべてを「作業(activity)」という。

 書籍「ひとと作業・作業活動」より
 「ひとと作業・作業活動」は新版として2015年3月15日完成
 作業とは :作業の定義と分類など 改装終了
 
ひとと作業 :ひとにとって作業とはなにかひとと作業の関係 未着手
 
作業の知 :作業そのものや作業の経過や結果のもつ意味など 改装終了
 作業分析 :作業分析の意味と基本 未着手
 作業の技 
:作業のもちい方 未着手
 
 作業・作業療法に関連する講演資料

@作業療法の基礎知識:精神認知機能径の作業療法を中心に、作業療法の基礎となる理論構成を示したもの(現 職者研修プレゼン資料) 
A心身統合の喪失と回復:2006年第40回日本作業療法学会のテーマに始まる作業療法の治療機序を示したもの(2009年九州PTOT合同学会の教育講演プレゼン資料)
B楽しむ作業:第2回京都作業療法学会教育講演資料2013/5
C作業療法の未来(さき):第33回近畿作業療法学会講演資料2013/9
D深めよう!広げよう!作業療法の技術 第15回愛媛県作業療法学会20150201
E作業療法の未来と展望 第49回日本作業療法学会予定
 [作業・生活行為]に関連する総説,論文など

@愛しあい,結ぼれ,命を宿し,産み,育てる−障害がある人たちの生活支援をICFの視点から− 作業療法ジャーナル44,558-562,2010
 人が出逢い、惹かれ、愛しあい、結ぼれ、命を宿し、産み、育てる。仮にその人たちに障害がある場合、その支援はどのような意味をもつのか、そうした支援の重要性や現状を含め、ICFの点から「なにをいまさら」という思いと「そしてまだ?」という2つの思いを述べた
A治療・療養環境と生活障害−「住まい」という視点から 臨床作業療法8(6) 550−554,2011
 治療・療養環境と生活障害について,そのとらえ方と基本的な視点を整理した.
Bハレとケ-行事がつむぐ生活 OTジャーナル49, 1255 -1259
 四季折々の行事が,人々の社会生活や日々の暮らしにどのように影響しているのか,行事は作業療法でどのように用いられているのか
Cひととことばと作業と 臨床精神病理 35(1),59-66,2014
 ことばは,あいまいな現象や心の深層を明確にする.しかし,ことばはときとして侵襲性を伴う.作業は客観性ではことばに及ばないが,非言語的なコミュニケーション機能はことばにならない真実をつたえる.

                     
 ひとが、あるがままに暮らしているときには、年齢、性別、身体の形態や心身の基本的な機能など、さまざまな違いを超え、それぞれの「こころ」や「からだ」は、その人固有の調和した働きをしている。それは、まさに複雑系(complex system)としての調和である。その働きの歪みが病いであり、歪みの影響が生活の障害である。私たちは、日々のくらし(生活)を構成する作業や作業活動をもちいて、ひとの「こころ」や「からだ」の働きに生じた歪みを糺(ただ)し、その人なりの調和を取り戻す手助けをする。
 本書は、「ひと」にとって、また「ひと」と「ひと」の関係にとって、作業や作業活動がどのような働きをするのか、その働きを使うにはどうすればいいのか、というあまりにも日常的な、そして多くの要素が関連した現象の謎を解こうとするものである。
  ひとが生まれ、遊び、学び、働き、産み、作り(創り)、表し、休み、生きる。その日々の「くらし(生活)」、存在のはじまりから「生(一生)」を終えるまで、ひとは日々さまざまな作業をいとなむ。そしてそのいとなみを積み重ねることにより、一人ひとりの人生がつむがれる。
 ひとにとって作業とは何か、作業をおこなうとはどのようなことなのか。日々繰り返される基本的な生活を維持するいとなみは、本来なら意識されることなくおこなわれる。

  「作業をすることは、自然のもっとも優れた医師であり、それが人間の幸福についての条件である」とギリシャの医師ガレンGalen(130〜201AD)が言ったと伝え聞く。古代ギリシャの医師が作業や作業活動の本質として見いだしていたクオリアは何か。近代科学は、還元主義的手法によりそうした生活現象のクオリアを解明する手法であった。その要素分析的手法は、医学モデルにおけるボトムアップ・アプローチとして、それまでに気づかなかった現象の背景にあるいくつもの要素を明らかにした。
 その近代科学の波は作業療法にも押し寄せ、1960年代に米国を中心として始まった作業の特質、ひとと作業のかかわりなど作業療法の体系化も、いかに作業療法をこの近代科学の系列に載せるかというものであった。しかし20世紀半ばには、すでに近代科学の手法は行き詰まり(限界)を呈し始めていた。分子生物学によるヒトゲノムレベルで解明された要素も、ひとの意識がどのように起こるかという脳の働き、生命現象については何も示すことはできない。
 近代科学が無視し、軽視し、見えなくしてしまったリアリティ(中村雄二郎「臨床の知とは何か」)、その一つが生活世界における「関係の相互性」である。作業科学、人間作業モデルなどは、四半世紀続いた作業の科学的体系化が行き詰まったなかにおける、「ひとと作業と環境の相互性」への回帰にむけた模索といえる。
 古代ギリシャの医師が見いだいていたと思われる作業・作業活動のクオリアの扉を開く試みを。  
  工事が始まりました