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ひとは皆,この世に生を受けてから命が尽きるまで,ただひたすら消費行為を繰り返す.動物として生をまっとうするに足る以上の消費をする.さまざまな人工物を作り,創作行為もおこなうが,それらはいずれも他の資源を消費しておこなわれる.新たな価値を生みだす生産的行為と言うこともできるが,やはり,資源の消費により成りたっている行為である. そうした,ひとが生きるためのさまざまないとなみにおいて,植物を植え,育てること,それは独立栄養を営む「しずかな命」に支えられてのことではあるが,ひとにとって唯一の生産的創造行為といえるものではないだろうか.自分が植え,育てる,それは手工芸で何かを作ることや動物を飼育することとも異なり,消費された資源の量より生産されたものの量のほうが多い,ほとんど他の資源を消費することのない生産行為である.その結果である作物を収穫する,収穫したものを命の糧として食べる,その安心と喜びに,ひとが生きるということの意味を気づかされる. えっ! 俺かい カマキリ ヘッセが友人に宛てた手紙の一節 植物であれ、動物であれ、障害がある隣人(郷愁:ペーター・カメンチントに登場するポピー)であれ、詩人ヘッセ(Hermann Hesse, 1877〜1962)は自然の動植物とも人間とも同等に対峙した。 |
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植 物 の 特 性 |
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植物−しずかな命 多くの植物は細胞膜があり、葉緑体をもち、光合成により太陽エネルギーと大気中の二酸化炭素から、栄養分としての炭水化物を作り出す独立栄養をいとなみます。そのため、食べ物を求めて移動することなく、捕食のために動く動物に対し、植物は「しずかな命」といえる特性をもっています。動物が排出する二酸化炭素を、植物は有機物や酸素に変え、環境を浄化し、私たちの命を支えています。 二酸化炭素 + 水 + 光エネルギー → ブドウ糖 + 酸素 (6CO2 ) (6H2O) (C6H12O6) (6H2O) |
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動物−うごく命 動物は、他の生物を食べて生活をする生物の総称である。原生動物などには植物と区別がつかないものもいるが、植物と違って独立栄養ができない(従属栄養)。そのため、食べ物を求めて移動が必要であり、細胞壁がなく動きやすい構造になっており、種々の器官がすべて分化しているため、植物の挿し木のように、同じ性質のものを作ることはできない。この動物の命のありようは、「うごく命」といえよう。 |
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植物と動物−共に生きる |
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ひとと植物 ヒト(人類)は地球に誕生して以来、植物を採取し植物と共生する昆虫や小動物を捕り、植物を育て利用することで文明を築いてきた。この緑にかこまれ、緑に育まれたヒトからひとへの進化の歩みが、人間の身体の奥底に刻まれ、自然回帰の気持ちとなり、緑にやすらぎを求め、緑を見ると癒されるのだろう。私たちが植物に抱くイメージは、植物と動物の特性の違いとともに、園芸療法の効果に関係している。 |
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